前回に続いて映画と印刷の一考・・・・
1978年公開の松本清張原作の同名映画「鬼畜」、読むからにおどろおどろしいタイトルですよね
惜しくも亡くなられた名優 緒形拳が演じる経営難に苦しむ印刷会社の社長がある日突然“隠し子”を引き取ることになるが、正妻との確執から「鬼畜」と化し、断崖から子供を投げ落とす
しかし、死んだはずの子供は生きていた・・・・
父を庇い、自分の命を断とうとした父の名前も自らの名前も名乗らない、
やがて警察が犯人である父親を捜しあてる、その証拠となったのは子供が握りしめていた「石」の欠片・・・・
昭和の初め頃から続く「石版印刷」を知っている方なら察しがつくでしょう、主人公が子供を投げ落とす前に「石版印刷」の職人だった事を伝え、石版磨きの石の欠片を子供に渡していたのです、
劇中では当時すでに衰退していた「石版印刷」がきっかけとなり、犯人が捜しあてられるのですが、実は現在でもこの「石版印刷」は先日紹介した「活版印刷」とともに技術継承されているのです、一部では“リトグラフ”という名前で製造しています。
レトロなメンコや古いお酒のラベルなど色が微妙にズレている印刷物を見かけたことないですか? あれです
この映画は人間の奥底に潜む「鬼畜」を描いているのですが、私個人としては印刷関係者の一人として中々感慨深い映画でした。
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