先日、黄金町のシネマジャックアンドベティにて映画を観ました。
「世界一美しい本を作る男~シュタイデルとの旅~」
ドイツの小さな出版社、シュタイデル社の経営者
ゲルハルト・シュタイデル氏を追ったドキュメンタリー映画です。
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経営者ゲルハルト・シュタイデルは、
印刷機から出てくる一枚一枚の写真や原稿をチェックし”本”作りに情熱を注ぐ。
今や有名写真家が作品を出版する為に何年も待ち、
扱うのはノーベル賞作家の新作からシャネルのカタログまでと幅広く、
世界中にコレクターがいるシュタイデル社の”本”。
自らアーティスト達と綿密な打合せを繰り返し、
収録作品、使用する紙、インクの選定まで徹底的にこだわり
“本”自体を作品へと昇華させていく。
彼の妥協なき本作りの姿勢は、効率重視の出版業界において
ユニークなビジネスモデルとしても注目されている。
“本”と”芸術”、そして”仕事”への愛情に満ちたシュタイデルの世界へようこそ。
(『世界一美しい本を作る男~シュタイデルとの旅~公式HPより)
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印刷業に携わる者として、この映画は観て良かったと心から思いました。
シュタイデル社はあくまでも印刷会社ではなく出版社なので、
主たる所は本を作る過程であり、印刷を追っているわけではありません。
作者のテーマを汲み取り、それを表現するためにはどのような仕様がいいのか、
綿密で活発な打合せをしながら探っていきます。
彼自身が世界中を飛び回って。
紙にいたっては、
それぞれの紙の持つ匂いにまで言及する程のこだわりを見せる方です。
そして印刷。
作者も立ち合い、その場で色の指示を出す。
満足の行く仕上がりにするために、何度も繰り返す。
その時のシュタイデル氏の指示や提案にも、彼のこだわりがうかがえます。
シュタイデル社では社内で印刷もしているので、
印刷現場も映画には出てきます。
シュタイデル氏のデスク周りは、整理されていながらも雑然としているのに対し、
印刷現場は驚くほどキレイです。
弊社でも印刷オペレータはそれぞれ機械をメンテナンス、掃除しているのですが、
もう比になりません。
まるでショールームにある機械のようでした。
実際に動いている機械をその状態に出来る事に、驚きを禁じ得ません。
紙の取り扱い然り。
もちろん、印刷物をここまで「作品」として作り上げるには、
需要と供給のバランスがとれていなければなりません。
コストをかけてでもその品質を求める顧客がいる。
その品質を提供できる会社がある。
こだわり抜いた出版物に対する提案力、
そして仕上がりの飛びぬけた品質に特化しているからこそ、
シュタイデル社は世界で認められる、価値ある出版社なのだと思います。
ちなみにこれ、2010年に制作された映画なんですが、
映画の中でシュタイデル氏は、
印刷会社を探しているという方に対し、
「印刷のスケジュールは埋まっている。刷るとしたら2013年か2014年になる」
と答えています。
3年先までスケジュールが埋まっているって、すごい事ですね。
世界一美しい本を作る男は世界に求められている。
素晴らしいアーティストの映画でした。
残念ながら横浜での上映は終わってしまいましたが、
3月22日から4月1日まで、新百合ヶ丘で上映されるようです。
印刷・デザイン・出版業界の方のみならず、
一流のプロフェッショナルをご覧になりたい方は、是非!
http://steidl-movie.com/top.html
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