ミシマ 【ブログ】

三島由紀夫。
言わずと知れた昭和を代表する作家の1人。
今日11月25日は、三島が市ヶ谷駐屯地で自刃した日です。
1970年のこと。

私の中で三島と聞いてまず出てくるのが、『金閣寺』
1950年の金閣寺焼失事件に題材を得た小説です。
その昔、正直波に乗れないまま読んでいたのですが(笑)、最後の1行でガラリと作品の印象が変わった忘れられない1冊。
たった1文で作品の持つ力強さに圧倒されたとでも申しましょうか。
これまで読んだ小説の中で、最後の1行がこれほど印象的な作品は『金閣寺』だけ。

他に小説で印象的なのは『美徳のよろめき』『美しい星』『レター教室』あたりですかね。
(↑個人の感想です・笑)

『美徳のよろめき』
大衆小説と言われ、実際「妻の不貞」という題材をを描いている本作ではありますが、上流階級の人々の間で交わされる柔らかい会話、たおやかな所作が思い浮かぶようなふうわりとした言葉まわしに何とも品がありうっとりしてしまいます。
内容的にも比較的読み易い作品ではないでしょうか。
ただし展開や結末はあくまでも文学作品的ですので、現代小説を読む気持ちで読んでしまうと消化不良になるかもしれません(笑)

『美しい星』
異色のSF作品。
自分たちがそれぞれ火星・金星・水星・木星からやってきたと信じている家族が、他の星からやってきた人類滅亡を願う宇宙人と対峙するお話です。
いや、敵も味方も普通に姓名のある地球の人なのですが(笑)
何とも独特な、他に類を見ないSF作品となっております。
宇宙人が出てくるというよりも、登場人物が宇宙人目線。
宇宙人目線で地球を描いている体になっている作品といいますか。
なんとこれ来年映画化されるそうで…なぜ数ある三島作品の中から、よりにもよってこれを選んだのか…というのが謎すぎて、是非とも劇場に観に行こうと思っております(笑)

『レター教室』
こちらも異色作。
登場人物たちが書いた手紙で1本の小説が構成されています。
コミカルで、所謂文学作品はなかなか読む気にならない…という方にも読み易い作品。
三島作品に抵抗があるという方にも、昔よくおすすめしていました。
ストーリー仕立ての手紙のやりとり。
同時にそれが、手紙の書き方のお手本にもなっているという、なんとも気の利いた一作です。
故にタイトルが『レター教室』なんですね。

三島は日本語の美しさにこだわり、旧仮名遣いで書き続けた作家。
(現在一般的に販売されているものは、新仮名遣いに置き換えられているものが殆どだと思いますが)

現代のさらりとした文章を読み慣れている方には、同時代の他の作家よりも少し読みにくいかもしれません。
しかし語彙量・表現ともに素晴らしい日本語に出会えます。
機会があれば是非一度チャレンジしてみてください。

三島は戯曲(舞台の脚本)も書いています。
現在も舞台で再演を重ねている、美輪明宏が主演を務める『黒蜥蜴』
あれは明智小五郎シリーズなのだから、書いたのは江戸川乱歩じゃないか。
そうお思いかもしれませんが、原作は乱歩、戯曲は三島が手掛けているという豪華な作品なんです。
美輪明宏を黒蜥蜴役に迎えるのは、三島自身が熱望したことです。
1968年深作欣二監督により映画化された際にも、黒蜥蜴役は丸山明宏(美輪明宏)が演じました。
ちなみにこの作品には、ワンシーンだけですが三島自身も出演しています。
何とも独特の雰囲気があり、若き丸山明宏が演じる黒蜥蜴も妖艶で美しいのですが…三島が出演しているばっかりに、この作品はDVD化されていません
ちょっと特殊な出演の仕方をしているため、ご遺族がソフト化を認めないのだそうです…残念です…とても残念です。
昔リバイバル上映で観て以来、何かしらの形で手に入れられないものかと探ってはいるのですが、未だにどうにもなりません(笑)
レンタルVHSとしては存在したようですが、そのレンタル落ちVHSのオークション価格は現在¥25,000¥200,000
¥25,000なら…と一瞬魔がさしますが、VHS何と言ってもVHSです…。
今のところ何とか正気で踏みとどまっております(笑)
一瞬だけ海外で発売された事のあるDVD(現在は廃盤)がごく稀にオークションに出品されるようです。
どなたか…どうか…どうか、見かけたら私に教えてください…。


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