一路 【横浜印刷会社のスタッフブログ】

『一路』上・下巻
浅田次郎・著

またまた浅田次郎です。

◆あらすじ
時は江戸、十四代将軍家茂の時代。
二年に一度の参勤交代。
その行列の一切を仕切る供頭の務めを担っていた父親が謎の失火で急逝したため、急きょ生まれ育った江戸から国元へと戻り、何の教えも受けないままに父の後任を担わねばならなくなった小野寺一路。
拝領屋敷での失火という大失態の後だけに、参勤で不始末があれば御家取り潰し。
焼け跡で見つけた古文書だけを頼りに、背水の陣で参勤交代に臨む。
7500石と石高は多くない旗本だが、役目としては大名並みの扱いを受ける主家・蒔坂家。
雪山に川、難所だらけの中山道をゆく江戸への道のりに加え、御家転覆を謀る不穏な動き。
果たして一路は「うつけ」の「馬鹿殿」のと言われる主君・蒔坂左京大夫を奉じて無事、江戸へ参勤する事ができるのか。

笑いあり、ドラマあり、人の筋あり。
これまた浅田次郎らしい作品です。

浅田次郎がお好きな方に分かりやすい表現をするのであれば、江戸時代・参勤交代を舞台にした少し真面目なプリズンホテル。
もしくは『蒼穹の昴』『中原の虹』の西太后パーツのノリが全編続いていく感じの作品。

右も左も分からぬまま、参勤交代を仕切らねばならなくなった小野寺一路。
母のいる江戸屋敷で育った彼は、故郷に頼れる人もいません。
しかも、父は拝領屋敷での失火により急逝。
御殿様から拝領した屋敷、しかもご門前で火を出すとは不心得。
そんな家に関わればわが身にどんな危険が及ぶかわからない…という事で、故郷の人々は一路と目すら合わせないようにしている始末。

焼け跡で見つけた古文書だけを頼りに、時代にそぐわぬ古式ゆかしい行列を仕立てて江戸への道中を差配する決意をした一路。
彼の味方はいかにも頼りない寄せ集めの男たち。
はてさて参勤行列の顛末は。

決して出来のいい人たちばかりではないけれど、それぞれに筋がある。
ベタでどストレートな言葉や心のありようが心に残ります。
浅田次郎作品が好きな所以です。

なんだか面倒そうな人たちがたくさん出てくるけれど、読み終わる頃には登場人物たちが愛おしくなっている。
これまた浅田次郎作品が好きな所以です。

読後感が心地よい浅田作品。
是非。


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