以前、「うぐいす色」に関しての記事があったのですが、
今回も少々色のお話を。
「和風」と感じる色、皆さまそれぞれあると思います。
他では表現できないような、日本独特の色。
沢山ありますよね。
でも、ありきたりの色でも、
組合せ一つで「和風」と感じたりすること、ありませんか?
今日はそんなお話です。
「かさね色目」
という言葉を耳にされた事はあるでしょうか?
日本独自の装束で使われる言葉です。
いつから使われていた言葉かという所までは詳しくないのですが、
平安時代にはあったもので、記録も残っています。
では、「かさね色目」とは何なのか。
いくつか種類があるのですが、色の組合せの事なんですね。
○当時の装束(まだ今でいう着物ではありません)の、裏と表の色の組合わせ。
○重ね着をした時の色の組合せ。
○縦横別の色の糸で織物を織った時の色の組合せ。
例えば蘇芳(赤)と白の生地は「梅」という組合せ。
紅と紫の生地は「薔薇(そうび)」という組合せ。
濃紅と濃黄の生地は「朽葉」という組合せ。
白瑩(はくえい)と白の生地は「氷」という組合せ。
といったように、組合せそれぞれに名前が付けられています。
通年使えるものと、四季それぞれ決まった季節に使われるもの、
それはもう膨大な数の色合わせです。
しかも、単純に2色を組み合わせるというものではなく、
生地が透けて2色が融合する色合いまで考えられているのです。
特に夏は装束の生地も薄くなるので、より、透け具合が強くなります。
……深いですねぇ。
ちなみに例に挙げた四つの組合せは、
上から春、夏、秋、冬の組合せとされています。
日本人の色彩感覚と、色を名付けるセンス。
私は個人的にとても好きなのですが、
今ではこの「かさね色目」も一般的に知られてはいません。
ただ、普段何とはなしに「和風」と感じる色の組合せ。
「かさね色目」の一覧を見ていると四季のある日本に住む私たちは、
資料なんてなくても、この色感覚を自然と身につけているのかなと感じます。
こんなに風情ある名前の、こんなに素敵な色がある。
カタチは違えど印刷は色に携わる仕事。
これからも、この感覚を忘れずにいきたいものです。
先人達に敬意を。
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