ぼぎわんが、来る 【横浜印刷会社のスタッフブログ】

最近面白かった本その2。
久々に面白いホラー小説に出会いました。
というか、何だかひかれて本当に久々に角川ホラー文庫を買いました(笑)

「ぼぎわんが、来る」

澤村伊智・著 角川ホラー文庫

■あらすじ
幸せな新婚生活を営んでいた田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。
取り次いだ後輩の伝言に戦慄する。
それは生誕を目前にした娘・知紗の名前であった。
原因不明の怪我を負った後輩は、入院先で憔悴してゆく。
その後も秀樹の周囲に不審な電話やメールが届く。
一連の怪異は、今は亡き祖父が恐れていた“ぼぎわん”という化け物の仕業なのか?
愛する家族を守るため秀樹は伝手をたどり、比嘉真琴という女性霊媒師に出会う。
真琴は田原家に通いはじめるが、迫り来る存在が極めて凶暴なものだと知る。
はたして“ぼぎわん”の魔の手から、逃れることはできるのか……。

「〇〇すると〇〇が来るよ。」
子どもの時に言われたことはありませんか?
「それ」が何だかわからないけれど、何かとても恐ろしいものがやってくる。
大人にとっては、子どもに言うことをきかせるための方便。
この作品の中の「ぼぎわん」は、そんな存在です。
でもそれが、実在するとしたら?

冒頭は、田原秀樹の子供時代の出来事から始まります。
ここで、彼がひどい目にあったりはしないのです。
彼は「何か」の存在を感じるだけ。
しかしその描写。
はっきりとした姿を描くわけでもなく、痛い目にあったわけでもなく、よく分からない何かの存在を提示されただけなのですが、背筋がぞわりとするその描写。
その序盤を読んだ時点で思いました。

完敗です。

凄惨な事件が起こっているわけではないのに、背筋がぞわりとする気味悪さ。
表現の一部として使われる読み手の「想像力」。
故意の「余白」といってもいいかもしれません。
「想像力」で文章の「余白」を埋めて楽しむ作業は、読書の醍醐味ですよね。
行間で表現をするのが上手い作家さん、大好きです。
粋ですよねぇ。

期待とは違う方向性に進んだりする部分もあり、全編隙なく恐ろしく面白いかと言われるとそういうわけではないのですが…(笑)
しかし面白かった。
一気読みしました。

民俗学的アプローチあり。
心霊・悪霊祓い的アプローチあり。
スプラッター的アプローチあり。
ミステリ的アプローチあり。
キャラクター的アプローチあり。

色々な視点から楽しめるので、ホラー好きの方はぜひ!

ちなみに「嫌われ松子の一生」「告白」「渇き」の中島哲也監督により、「来る」というタイトルで映画化されるようです。
発表されているキャストは、小松菜奈さん、松たか子さん、妻夫木聡さん、岡田准一さん、黒木華さん。
公開は来年。
こちらも楽しみです。


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