普段あまりテレビを観ないのですが、先日帰宅してたまたまテレビをつけると、有名なアノ番組がやっていました。
「プロフェッショナル 仕事の流儀」
何だか画面に惹かれて見てみると、書体メーカー大手・FONTWORKS社のフォントデザイナー 藤田重信さんの回でした。
彼のデザインで代表的なフォントは、筑紫書体のファミリーでしょうか。
藤田さんの書体の個人的な印象は、「美しさとやり過ぎ感が紙一重」な書体。
パッと見は美しいのですが、いざ組んでみると中にものすごく主張する仮名がいたりして、若干バランスが取りづらい(笑)
個人的には本文組みには使いません。
単に好みの問題もあるのですが、ここ数年「全てお任せ」と言って頂いた時に私が目指しているのは、「書体に頼らないデザイン」。
変わった書体を使って目立つものを作るのは、今やパソコンさえ持っていれば誰にでもできると思うのです。
というよりも、私自身が、書体に頼る癖がついてしまうとデザインの工夫を考えなくなってしまうんですね。
シンプルな明朝やゴシックを使って、きっちりと目的に適ったものを作るということ。
これまで長年オペレーターをやってきて、主張の強い変わった書体を好んで使っていた若い頃を踏まえての目標です(笑)
とはいえシンプルな組みを目指すからこそ、そういった中にスポットで藤田さんがデザインされたような書体を入れると、「違和感」を使ってアイキャッチを得るには効果抜群なんですよね。
一見本文と同じ明朝体のようで、あれ、違う。
同じゴシック体のようで、あれ、違う。
そんな、人の目を引く「異形の美しさ」が藤田さんの書体にはあると思います。
それにしても見ているだけで気が遠くなりそうでした、書体デザインというお仕事。
普段何気なく使っているフォントですが、ただの「いろはうた」だって、書体によってこんなに印象が変わります。
広大で深遠な書体の世界を垣間見た気持ちでした。
しかし、たまたまテレビをつけたらやっていた…という状況だったので、前半は見られていません。
月曜日に再放送があるようなので、今度は録画して見たいと思います。
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