『出版禁止』
長江俊和・著
■あらすじ
著者・長江俊和が手にしたのは、いわくつきの原稿だった。
題名は「カミュの刺客」、執筆者はライターの若橋呉成。
内容は、有名なドキュメンタリー作家と心中し、生き残った新藤七緒への独占インタビューだった。
死の匂いが立ちこめる山荘、心中のすべてを記録したビデオ。
不倫の果ての悲劇なのか。
なぜ女だけが生還したのか。
息を呑む展開、恐るべきどんでん返し。
異形の傑作ミステリー。
初めて読んだ作家さんでした。
映像畑の方なんですね。
深夜番組や映画でフェイクドキュメンタリー(ノンフィクションのように作られたフィクション作品)を多く撮られているようです。
未見ですが有名なホラーシリーズ『パラノーマル・アクティビティ』、その2作目を撮ったのもこの方だそうで。
映像畑の方の割に、地に足のついた文章で落ち着いて読める作品でした。
映像作品と同じく、こちらもフェイクドキュメンタリー。
とてもトリッキーな作品です。
仕掛けが多く、深読みすればするだけ隠された情報が出てくるような。
アナグラムや時系列、文字で書かれたものであるゆえに「見えない」という部分を利用した仕掛け。
しかも作品中でその仕掛けの答えが明かされる事はありません。
どうやらファンには深読みが好きな方々が多いようですね。
言ってみれば謎解き好きの方々に与えられた「問題文」がこの小説。
読み終わった時点から読者はさらに熟読と研究を重ね、自分なりの答えを導き出さねばならないようです。
私はさらりと気になった部分だけ考えて終了しましたが(笑)
こういうトリッキーな作品はハマるとたまらないのはよくわかります。
謎解きゲーム感覚な1冊。
ご興味ある方は、是非。
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